「お金持ちになりたい!」と子どもに言われたとき、あなたはどう答えますか?
橘玲さんの『親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの?』は、そんな素朴な疑問に答えながら、親子で一緒に「お金の本質」が学べます!
- 社会の仕組み
- お金の増やし方
- 時間の使い方
など、ゲーム形式で楽しく学べる内容となっており、子どもだけでなく大人にとっても目から鱗の知識が詰まっています。
この本の基本情報
この本は、親子で一緒に「お金の本質」を学ぶことができる一冊です。
単にお金持ちになる方法だけでなく、社会の仕組み、成功するための考え方、人生の選択について、子どもにも分かりやすく解説されています。
特徴的なのは、難易度に応じて
- 初級レベル
- 中級レベル
- 上級レベル
の3つに分けられていること。
これにより、子どもの年齢や理解度に合わせて読み進めることができます。
また、ゲーム形式で学べる構成になっているため、楽しみながら重要な概念を身につけることができるでしょう。
著者プロフィール
『親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの?』は、2024年11月に筑摩書房から出版された橘玲さんの著書です。本書は192ページからなり、副題に「人生という「リアルなゲーム」の攻略法」とあるように、人生をゲームに例えながら、お金持ちになるための考え方を解説しています。
発売からわずか数ヶ月で、Amazonの「ギフトとしてよく贈られる書籍(教師向け書籍)」部門で上位にランクインするなど、多くの読者から支持を集めています。特に、子どもへの金融教育に関心のある親御さんからの評価が高いようです。
著者・橘玲さんについて
経歴と代表作
橘玲さんは1959年生まれの作家です。早稲田大学第一文学部(ロシア文学科)を卒業後、出版社勤務を経て、2002年に国際金融小説『マネーロンダリング』で作家デビューしました。同年に出版した『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』は30万部を超えるベストセラーとなりました。
その後も『永遠の旅行者』(第19回山本周五郎賞候補)、『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(2017新書大賞受賞)など、数多くの著作を発表しています。投資や経済に関するフィクション・ノンフィクションの両方を手がけるほか、2010年以降は社会批評や人生論の著作も執筆しています。
「海外投資を楽しむ会」の創設メンバーの一人でもあり、投資や資産形成に関する知識が豊富です。
橘玲さんの執筆スタイルの特徴
橘玲さんの文章の最大の特徴は、平易で読みやすいことです。難解な言い回しや知識人ぶった表現はなく、誰にでも理解できるように書かれています。また、論理的な展開が明快で、「なるほど」と納得させる力があります。
その文章は事実をベースにしており、著者の思い込みや独自理論だけで展開されることはありません。論文や研究などの事実に基づいた論理的な展開がなされているからこそ、読みやすさがあるのです。
同時に、ウィットに富んだ表現やアイロニカルな視点も随所に見られ、読者を飽きさせません。合理的な思考を重視する一方で、読み物としての面白さも大切にしているのが橘玲さんの著作の魅力と言えるでしょう。
本書の構成と特徴
8つのステージ形式
本書は8つのステージと特別ステージから構成されています。各ステージでは、お金や人生に関する重要な概念が解説されています。
第1ステージ「なにかを選べば、別のなにかをあきらめなければならない」では、トレードオフの概念について学びます。第2ステージ「お金はどのように増えていくのか」では、複利の力について解説されています。
第3ステージ「楽しいことはすぐに慣れてしまう」、第4ステージ「人生で大事なことはすべてギャンブルが教えてくれる」、第5ステージ「時間には値段がある」と続き、第6ステージ「市場でお金を生み出すには」、第7ステージ「はたらくってどういうこと?」、第8ステージ「ハックする」と進んでいきます。
そして最後に特別ステージ「人生で役に立つ7つの法則」で締めくくられています。
ゲーム感覚で学べる工夫
本書の大きな特徴は、難しい経済概念や人生の選択について、ゲーム感覚で楽しく学べるように工夫されていることです。例えば、トレードオフの概念を理解するために、日常的な選択を題材にしたゲームが用意されています。
また、難易度別に内容が整理されているため、子どもの年齢や理解度に合わせて読み進めることができます。初級レベルでは基本的な概念を、中級・上級レベルではより複雑な内容を学ぶことができるのです。
このように、遊びながら学べる構成になっているため、子どもが飽きずに重要な概念を身につけることができるでしょう。親子で一緒に取り組むことで、家庭内の会話も深まり、子どもの問題解決能力も高まることが期待できます。
本書の内容:お金の基本概念
トレードオフの考え方
人生では、何かを選ぶときには必ず他の選択肢を諦める必要があります。これが「トレードオフ」の概念です。例えば、今日遊ぶことを選べば、勉強する時間は減ります。お金を使えば、貯金は減ります。
本書では、このトレードオフの概念を子どもにもわかりやすく説明しています。トレードオフを意識した行動が身につくと、成長後も「時間を何に使うべきか」「投資と消費の違いをどう活用するか」といった重要な判断がしやすくなります。
合理的な意思決定をする上で非常に重要なこの概念を、日常的な例を通じて学ぶことができるのです。
複利の力と時間の価値
お金を増やすための基本的な原則は、単純な努力だけでなく「複利」や「効率的な使い方」を理解することにあります。複利とは、元本だけでなく、すでに発生した利息からも利息が生まれる仕組みのことです。
例えば、100万円を年利5%で運用した場合、1年後には105万円になります。さらにその105万円を運用すると、2年後には110万2500円になります。このように、時間が経つにつれて加速度的にお金が増えていくのが複利の力です。
本書では、この複利の概念を子どもでもわかる形で解説し、将来役立つ知識を身につけさせる工夫がされています。「貯金箱の中身を増やすためにどれだけ待てるか」といった実験的な課題を通じて、忍耐力や計画性も養うことができるでしょう。
合理的思考の重要性
本書の根底にあるのは「合理的に考える力」の重要性です。私たちの社会は、「合理的に考える」人がお金持ちになるようにできています。感情や流れに身を任せるのではなく、冷静に状況を分析し、最適な選択をする力が求められるのです。
成功している人に共通するのは、この「合理的に考える」という特徴です。バイアスをコントロールし、周りに流されない思考法を身につけることが、将来の成功につながります。
本書では、子どもの頃から合理的思考を身につけることの重要性が説かれています。これは単にお金持ちになるためだけでなく、人生の様々な場面で役立つ力となるでしょう。
お金持ちになるための核心
人生の資源管理術
人生の資源(お金や時間)は有限です。だからこそ、これらの資源を効率的に管理することが重要になります。本書では、限られた資源をどのように配分すべきかについて、わかりやすく解説しています。
例えば、時間という資源をどう使うかは、人生の成功に大きく影響します。勉強に時間を使うか、遊びに時間を使うか、それとも将来のスキルアップに時間を使うか。これらの選択は、将来の選択肢の幅に影響するのです。
本書を通じて、子どもたちは早い段階から資源管理の重要性を学ぶことができます。これは将来、より良い選択をするための基礎となるでしょう。
資産形成の基本戦略
お金持ちになるためには、単に稼ぐだけでなく、資産を形成する必要があります。本書では、資産形成の基本戦略について、子どもにもわかりやすく解説しています。
重要なのは「複利の力」を理解し、時間を味方につけることです。若いうちから少額でも投資を始め、長期間継続することで、大きな資産を築くことができます。
また、リスクとリターンの関係についても触れられています。高いリターンを得るためには相応のリスクを取る必要がありますが、そのリスクを適切に管理する方法も学ぶことができます。
人間関係という無形資産
お金持ちになるためには、お金だけでなく人間関係も重要な資産です。本書では、信頼できる仲間との協力の重要性や、チームを作ることで大きな成果を得る方法について解説されています。
人間関係を資産として捉える視点は、子どもたちにとって新鮮かもしれません。しかし、ビジネスの世界では「誰を知っているか」が「何を知っているか」と同じくらい重要になることがあります。
本書を通じて、子どもたちは早い段階から人間関係の構築の重要性を学ぶことができます。これは将来、ビジネスや社会生活で大きな力となるでしょう。
親子で学ぶ意義
子どもの「なぜ?」に答える方法
子どもは好奇心旺盛で、様々な「なぜ?」を投げかけてきます。「なぜお金が必要なの?」「なぜ働かなくちゃいけないの?」「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」など、答えるのが難しい質問も少なくありません。
本書は、そんな子どもの疑問に論理的に答えるためのヒントが詰まっています。例えば、「なぜ勉強するの?」という質問に対して、「将来の選択肢を増やすため」という答え方ができるようになります。
親子で一緒に本書を読むことで、子どもの疑問に対して的確に答えられるようになり、親子間のコミュニケーションも深まるでしょう。
将来の選択肢を広げるための教育
教育の最大の目的は、子どもの将来の選択肢を広げることです。本書では、子どもが自分らしく幸せに生きるために必要な知識を身につけることの重要性が説かれています。
特に、学校では教えてくれないお金の知識や社会の仕組みを学ぶことは、子どもの将来の選択肢を大きく広げることにつながります。早いうちからこれらの知識を身につけることで、より良い選択ができるようになるのです。
本書を通じて、親子で一緒に将来について考え、子どもの可能性を広げる教育について考えるきっかけになるでしょう。
家族でお金について話し合う重要性
多くの家庭では、お金について話し合うことがタブー視されがちです。しかし、お金は生きていく上で避けて通れない重要なテーマです。本書は、家族でお金について健全に話し合うきっかけを提供してくれます。
例えば、家計の収支や将来の教育費について話し合うことで、子どもは現実的なお金の感覚を身につけることができます。また、家族で一緒に将来の目標や夢について話し合うことで、お金の使い方や貯め方についても考えるようになるでしょう。
本書を通じて、お金について前向きに話し合える家庭環境を作ることができれば、子どもの金銭感覚も健全に育つことでしょう。
実践的なお金の増やし方
投資の基本原則
お金を増やすためには、投資の基本原則を理解することが重要です。本書では、子どもにもわかりやすく投資の基本について解説されています。
重要なのは、「分散投資」「長期投資」「コスト意識」の3つです。分散投資によりリスクを抑え、長期投資により複利の力を最大限に活用し、コストを抑えることで実質的なリターンを高めることができます。
本書を通じて、子どもたちは早い段階から健全な投資の考え方を身につけることができます。これは将来、資産形成をする上での大きな武器となるでしょう。
時間を味方につける方法
投資において最大の味方は「時間」です。若いうちから投資を始め、長期間継続することで、複利の力を最大限に活用することができます。
例えば、20歳から毎月1万円を年利5%で運用した場合と、30歳から始めた場合では、60歳時点での資産額に大きな差が生じます。この「時間の力」を理解することは、資産形成において非常に重要です。
本書では、この「時間の力」を子どもにもわかりやすく説明しています。早いうちからこの概念を理解することで、将来の資産形成に大きく役立つでしょう。
リスクとリターンの関係
投資において重要なのは、リスクとリターンの関係を理解することです。一般的に、高いリターンを期待するためには、相応のリスクを取る必要があります。
本書では、このリスクとリターンの関係を、子どもにもわかりやすく説明しています。例えば、ギャンブルの例を用いて、確率や期待値の概念を解説しています。
リスクを適切に管理しながら、長期的な視点で投資することの重要性を学ぶことができるでしょう。これは将来、資産形成をする上での重要な知識となります。
子どもの疑問に答えるヒント
勉強する意味を伝える方法
「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」という子どもの疑問に、どう答えればいいでしょうか。本書では、この質問に論理的に答えるヒントが提供されています。
勉強することは、将来の選択肢を増やすためです。良い成績を取ることで進学の選択肢が広がり、様々な知識やスキルを身につけることで職業の選択肢も広がります。つまり、勉強は「将来の自由度を高めるための投資」なのです。
本書を通じて、子どもに勉強の意義を論理的に説明することができるようになるでしょう。橘玲さんは、勉強することが将来の選択肢を広げるための「投資」であると説明しています。子どもが「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」と聞いてきたとき、「将来、自分の好きなことをするための選択肢を増やすため」と答えることで、子どもも納得しやすくなります。
本書では、勉強することで得られる知識やスキルが、将来の職業選択や生活の質にどのように影響するかを具体的に説明しています。これにより、子どもは勉強の意義を理解し、前向きに取り組むことができるようになるでしょう。
職業選択の考え方
「YouTuberになりたい!」という子どもの夢に、親はどう対応すればいいでしょうか。本書では、職業選択について考える際のヒントが提供されています。
橘玲さんは職業を「ロングテールの仕事」と「ベルカーブの仕事」に分類しています。YouTuberやプロスポーツ選手、芸能人などは「ロングテールの仕事」で、ごく一部の人だけが大成功し、大多数は成功できない職業です。一方、医師や弁護士、公務員などは「ベルカーブの仕事」で、努力すれば一定の成功が見込める職業です。
子どもの夢を否定するのではなく、それぞれの職業の特徴や成功確率を冷静に説明することで、子ども自身が現実的な選択ができるようになります。本書を通じて、親は子どもの夢を尊重しながらも、現実的なアドバイスができるようになるでしょう。
教育投資の重要性
「なぜ大学に行かなくちゃいけないの?」という疑問に、どう答えればいいでしょうか。本書では、教育投資の重要性について解説されています。
大学教育は、将来の収入や職業選択に大きな影響を与えます。統計的に見ても、大学卒業者は高卒者よりも生涯賃金が高くなる傾向があります。しかし、単に「大学に行けば良い」というわけではなく、何を学ぶか、どのようなスキルを身につけるかが重要です。
本書では、教育投資の費用対効果や、どのような教育が将来役立つかについて解説されています。親は子どもの適性や興味を考慮しながら、最適な教育投資について考えることができるようになるでしょう。
感想・レビュー
橘玲さんの『親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの?』を読んで、まず感じたのは「こんな本を子どもの頃に読みたかった」という思いです。お金や経済の話は、学校ではほとんど教えてもらえませんでした。大人になってから独学で学ぶことになり、遠回りした経験があります。
本書の魅力は、難しい経済概念を子どもにもわかりやすく説明している点です。特に「複利」の力や「トレードオフ」の考え方は、早いうちから身につけておくべき重要な概念だと思います。これらを理解しているかいないかで、将来の資産形成に大きな差が生まれるでしょう。
また、本書は単にお金の話だけでなく、人生の選択や幸福についても深く考えさせてくれます。「お金持ちになる」という目標の先にある「幸せな人生を送る」という本質的な目的を見失わないよう、バランスよく書かれている点も素晴らしいと思いました。
親子で一緒に読むことで、家庭内でお金について健全に話し合うきっかけになるという点も大きな価値があります。多くの家庭では、お金の話はタブー視されがちですが、本書をきっかけに、オープンに話し合える環境ができれば、子どもの金銭感覚も健全に育つでしょう。
個人的に印象に残ったのは、「時間の価値」についての説明です。時間こそが最も貴重な資源であり、それをどう使うかが人生の質を決めるという考え方は、大人になった今でも心に響きました。子どもの頃からこの概念を理解していれば、もっと効率的に時間を使えたかもしれないと思います。
本書は、子どもだけでなく大人にとっても学びの多い一冊です。特に、子育て中の親にとっては、子どもの「なぜ?」に答えるためのヒントが詰まっています。「なぜ勉強するの?」「なぜ働くの?」といった根本的な問いに、論理的に答えられるようになるでしょう。
まとめ
『親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの?』は、お金の本質や社会の仕組みを親子で一緒に学べる素晴らしい一冊です。ゲーム形式で楽しく学べる構成になっており、子どもから大人まで幅広い読者に価値ある知識を提供してくれます。
本書を通じて、子どもたちは早い段階から「合理的に考える力」を身につけることができるでしょう。これは将来、お金持ちになるためだけでなく、人生の様々な場面で役立つ力となります。
親子で一緒に本書を読むことで、家庭内のコミュニケーションも深まり、子どもの問題解決能力も高まることが期待できます。お金や経済について学びたい方、子どもに正しい金銭感覚を身につけさせたい方におすすめの一冊です。



