「少年と犬」あらすじ要約・ネタバレ・感想・レビュー(著:馳星周)

「少年と犬」あらすじ要約・ネタバレ・感想・レビュー(著:馳星周)
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東日本大震災で飼い主を失った一匹の犬「多聞」が、南へと向かう旅の途中で出会う様々な人々との交流を描いた馳星周さんの「少年と犬」。

第163回直木賞を受賞したこの作品は、傷ついた心に寄り添う犬の姿を通して、人間の弱さと強さ、絆の尊さを静かに、しかし力強く描き出しています。

2025年3月には高橋文哉さんと西野七瀬さんのW主演で映画化も予定されており、今あらためて注目を集めている感動作です。

目次

作品概要

「少年と犬」は、2020年5月に文藝春秋から刊行され、同年7月15日に第163回直木賞を受賞した馳星周さんの小説です。馳さんにとっては、デビュー作「不夜城」で初めてノミネートされてから実に23年、7回目のノミネートでついに掴んだ栄誉でした。

この作品は、6つの短編から構成される連作短編小説の形式を取っています。それぞれの短編は独立した物語でありながら、一匹の犬「多聞」を通じて緩やかに繋がっており、全体として一つの大きな物語を形作っています。

馳さん自身が「犬を愛する人たちに贈る」と語ったこの作品は、発売以来多くの読者の心を捉え、現在までに累計発行部数45万部を突破する人気作となりました。文庫版は2023年4月に文春文庫から発売されています。

さらに、2025年3月20日には映画版の公開が予定されており、高橋文哉さんと西野七瀬さんのW主演で、原作の複数のエピソードにオリジナル要素を加えた内容となる予定です。

物語の舞台と時代背景

「少年と犬」の物語は、2011年3月11日に発生した東日本大震災後の日本を舞台としています。主人公である犬の多聞は、震災で飼い主を失った後、岩手県釜石市から南へと向かう旅を始めます。

物語は震災直後の宮城県仙台市から始まり、新潟、富山、滋賀、島根と日本列島を南下し、最終的には熊本へと至ります。この旅路は約5年間に及び、2016年の熊本地震の時期にまで及んでいます。

震災という未曾有の災害によって傷ついた日本社会の断面を背景に、様々な事情を抱えた人々の姿が描かれています。貧困、犯罪、家族の崩壊、孤独、死といった重いテーマが扱われていますが、それらは決して暗く描かれるだけではなく、多聞という一匹の犬との出会いによって、光が差し込む瞬間も丁寧に描かれています。

主人公「多聞」について

物語の主人公である「多聞」は、ジャーマンシェパードと和犬のミックス犬です。東日本大震災で飼い主を亡くし、野良犬となった多聞は、人間の言葉を理解し、時には人間の心の機微までも感じ取るような不思議な能力を持っています。

多聞という名前は、仏教における四天王の一人「多聞天」に由来しています。多聞天は北方を守護する神とされていますが、物語の中で多聞は常に南を目指して旅を続けます。この対比には、何か特別な意味が込められているようにも感じられます。

痩せた体で傷つきながらも、多聞は出会った人々に寄り添い、時には彼らの人生を変えるほどの影響を与えていきます。しかし、多聞自身は決して長くは留まらず、常に南を目指して旅を続けます。その理由は物語の終盤まで明かされません。

多聞の聡明さと優しさ、そして使命感に満ちた姿は、読者の心を強く捉えて離しません。馳さんの犬への深い愛情と理解が、多聞という魅力的なキャラクターを生み出したのでしょう。

物語の構成

「少年と犬」は、6つの短編から成る連作短編小説です。それぞれのタイトルは「男と犬」「泥棒と犬」「夫婦と犬」「娼婦と犬」「老人と犬」「少年と犬」となっています。

6つの短編で描かれる旅

物語は多聞が南へと向かう旅の過程で出会う人々との交流を描いています。最初の短編「男と犬」は震災後の仙台を舞台に、次第に南下していき、最後の「少年と犬」では熊本に到達します。

この地理的な移動は、単なる場所の変化ではなく、多聞の内面的な旅でもあります。多聞は各地で様々な人間と出会い、彼らに寄り添い、時には救いをもたらします。しかし同時に、多聞自身も何かを探し求め、何かに導かれるように南へと向かっています。

それぞれの人間との出会いと別れ

多聞が出会う人々は、それぞれが何らかの問題や苦悩を抱えています。犯罪に手を染める男、壊れかけた夫婦、体を売る女性、死期を悟った老人など、社会の中で傷つき、悩み、惑う人々です。

多聞はそれぞれの人間に寄り添い、時には彼らの人生に大きな変化をもたらします。しかし、多聞はどこにも永住することなく、必ず別れの時が訪れます。この出会いと別れの繰り返しが、物語に独特のリズムと哀愁を与えています。

南へ向かう多聞の謎

物語全体を通して、多聞が南を目指す理由は謎のままです。多聞は常に南の方角を気にし、どれだけ居心地の良い場所でも、いつかは南へと旅立ってしまいます。

この謎は最終章「少年と犬」で明かされることになります。多聞の長い旅には、ある特別な目的があったのです。その真実が明かされる瞬間は、物語の大きな感動ポイントとなっています。

「男と犬」のあらすじ

物語は震災から半年後の宮城県仙台市から始まります。職を失った青年・和正は、同じく震災で飼い主を亡くした多聞と出会います。

震災後の仙台での出会い

和正は震災の影響で仕事を失い、生活に困窮していました。そんな時、道端で出会った多聞に心を惹かれ、家に連れて帰ります。多聞は和正とその家族に瞬く間に懐き、家族の一員となります。

多聞の聡明さと従順さに和正は驚きますが、同時に多聞が常に南の方角を気にしていることに不思議さを感じます。多聞は時折、南の方角を見つめ、何かを待っているかのような素振りを見せるのです。

和正との暮らし

和正の家族は多聞を迎え入れ、平穏な日々を過ごします。特に和正の母親は多聞を我が子のように可愛がります。多聞もまた、この家族に安らぎを見出したかのように見えました。

しかし、経済的な困窮は和正の家族を苦しめ続けます。失業保険も底をつき、新しい仕事も見つからない中、和正は次第に追い詰められていきます。

犯罪に手を染める和正の運命

家族を養うために、和正は危険な仕事に手を染めることになります。知人の誘いで窃盗団に加わった和正は、多聞の優れた嗅覚と聡明さを利用して、空き巣に入るようになります。

しかし、そのような生活は長く続きません。ある仕事の最中に警察に追われることになった和正は、混乱の中で多聞とはぐれてしまいます。多聞を探し回る和正でしたが、多聞の姿を見つけることはできませんでした。

多聞は和正の元を離れ、南への旅を再開します。和正との別れは突然でしたが、それが多聞の旅の始まりでした。

「泥棒と犬」のあらすじ

二つ目の短編「泥棒と犬」では、和正が所属していた窃盗団の一員であるミゲルと多聞の物語が描かれます。

外国人窃盗団との関わり

和正とはぐれた多聞は、窃盗団の外国人メンバーであるミゲルに拾われます。ミゲルは多聞の賢さに目を付け、仲間に引き入れます。

ミゲルたちの窃盗団は、主に空き巣を専門としていました。多聞は優れた嗅覚で警察の存在を察知し、団員たちに危険を知らせる役割を担います。

犯罪世界での多聞の役割

多聞は窃盗団の中で重要な役割を果たすようになります。その聡明さと忠実さは、犯罪者たちの間でも重宝されました。

しかし、多聞は決して犯罪に加担することを望んでいたわけではありません。常に南を目指す多聞にとって、窃盗団との生活は一時的なものでしかなかったのです。

ある日、警察の大規模な捜査によって窃盗団は壊滅的な打撃を受けます。混乱の中、ミゲルは多聞を連れて新潟県へと逃走します。しかし、その逃避行の途中で、多聞はミゲルの元を離れ、再び南への旅を続けることになります。

「夫婦と犬」のあらすじ

三つ目の短編「夫婦と犬」では、富山県に住む中山夫婦と多聞の交流が描かれます。

壊れかけた夫婦関係

中山夫婦は、長年の結婚生活の中で次第に心の距離が開いていました。特に妻の静子は、夫の浩二に対して冷たい態度を取るようになっていました。

二人の間には子供がおらず、その寂しさが二人の関係をさらに冷え込ませていました。浩二は仕事に打ち込み、静子は一人で家事をこなす日々が続いていました。

多聞がもたらす変化

そんな中、浩二が道端で出会った多聞を家に連れ帰ります。最初は難色を示した静子でしたが、多聞の純粋な愛情表現に次第に心を開いていきます。

多聞の存在は、冷え切っていた夫婦の関係に少しずつ変化をもたらします。多聞の世話をする中で、二人は会話を交わすようになり、かつての温かい関係を取り戻していきます。

しかし、多聞は常に南の方角を気にしています。中山夫婦との生活が安定してきたある日、多聞は突然姿を消します。二人は必死に多聞を探しますが、多聞はすでに南への旅を再開していたのです。

多聞との別れは寂しいものでしたが、多聞が残していった温かさは、中山夫婦の心に深く刻まれることになります。

「娼婦と犬」のあらすじ

四つ目の短編「娼婦と犬」では、滋賀県で体を売って生活する美羽と多聞の物語が描かれます。

美羽との出会い

美羽は、男に貢ぐために体を売る生活を送っていました。心を閉ざし、感情を殺して生きる美羽の前に、ある日多聞が現れます。

最初は警戒心を抱いていた美羽でしたが、多聞の無条件の愛情に次第に心を開いていきます。多聞は美羽の孤独な生活に温かさをもたらし、彼女の心の傷を少しずつ癒していきます。

悲しい過去を持つ女性の再生

美羽には辛い過去がありました。若くして両親を亡くし、頼りにしていた恋人にも裏切られた経験から、人を信じることができなくなっていたのです。

しかし、多聞との生活の中で、美羽は少しずつ変わっていきます。多聞の無償の愛に触れ、美羽は再び人を信じる勇気を取り戻していきます。

そんな中、多聞の後を追ってきた和正が美羽の前に現れます。最初は警戒心を抱いていた美羽でしたが、和正の誠実さに心を開き、二人と多聞の新たな生活が始まります。

しかし、この幸せな時間も長くは続きません。多聞は再び南への旅を続けるために、二人の元を去ってしまいます。美羽と和正は悲しみに暮れますが、多聞が二人に残した絆は、彼らの新たな人生の始まりとなるのでした。

「老人と犬」のあらすじ

五つ目の短編「老人と犬」では、島根県で猟師を営む老人・弥一と多聞の交流が描かれます。

死期を悟った老猟師との日々

弥一は長年猟師として生きてきた老人で、自分の死期が近いことを悟っていました。山奥の一軒家で一人暮らしをする弥一の前に、ある日多聞が現れます。

弥一は多聞の賢さと忠実さに感心し、自分の猟犬として迎え入れます。多聞もまた、弥一の誠実さと優しさに心を開き、二人は深い絆で結ばれていきます。

人生の終わりに寄り添う多聞

弥一の体調は日に日に悪化していきますが、多聞は常に彼のそばに寄り添います。言葉を交わすことはできなくても、二人の間には深い理解と愛情がありました。

弥一は自分の死後、多聞がどうなるかを心配していましたが、多聞には南を目指す使命があることを感じ取っていました。弥一は最後の力を振り絞って、多聞が南へ向かう手助けをすることを決意します。

弥一の死は静かなものでした。多聞は最後まで弥一のそばに寄り添い、彼の旅立ちを見守ります。弥一の死後、多聞は再び南への旅を続けるのでした。

「少年と犬」のあらすじ

最後の短編「少年と犬」では、多聞の長い旅の目的地である熊本県での物語が描かれます。ここで多聞の旅の真の目的が明かされます。

震災で言葉を失った光との再会

熊本県に住む内村家は、東日本大震災で被災した後、岩手県釜石市から移住してきました。父親の徹は漁師から農業に転職し、母親の美香とともに息子の光を育てています。

光は震災の経験から言葉を失い、心を閉ざしていました。海を異常に恐れるようになった光は、周囲との関わりを避け、孤独な日々を送っていました。

そんなある日、徹が農作業の帰りに多聞を見つけます。家に連れ帰った多聞を家に連れ帰った多聞を見た光は、驚くべき反応を示します。長い間言葉を発していなかった光が、多聞を見て「タモン」と呼びかけたのです。実は多聞は、震災前に光が飼っていた犬だったのです。

家族は光の変化に驚き、喜びます。多聞と光の再会は、まるで奇跡のようでした。多聞は5年もの間、かつての飼い主である光を探し続けていたのです。南を目指す旅の目的は、光との再会だったのです。

多聞の旅の真の目的

多聞が南を目指して旅を続けた理由は、光との再会でした。震災の混乱の中で離ればなれになった二人ですが、多聞は光の匂いを頼りに、日本列島を南下し続けていたのです。

多聞と再会した光は、少しずつ言葉を取り戻し、心を開いていきます。多聞の存在は、光の心の傷を癒す大きな力となりました。家族も光の変化に喜び、新たな生活が始まります。

熊本での最後

しかし、その幸せな時間も長くは続きませんでした。2016年4月、熊本地震が発生します。地震の揺れに怯える光を守るため、多聞は自分の身を犠牲にします。

多聞の死は静かなものでした。長い旅の末に再会を果たした光のそばで、多聞は安らかに息を引き取ります。多聞の死は悲しいものでしたが、その死は決して無駄ではありませんでした。多聞の愛は光の心を癒し、彼に生きる勇気を与えたのです。

多聞が人々にもたらすもの

物語全体を通して、多聞は出会った人々に様々な影響を与えていきます。その存在は単なるペットとしてだけではなく、人々の人生を変える力を持っていました。

癒しと希望

多聞は出会った人々に癒しと希望をもたらします。犯罪に手を染める和正、壊れかけた夫婦関係の中山夫妻、体を売って生きる美羽、死期を悟った弥一、そして言葉を失った光。彼らはそれぞれが深い傷を抱えていましたが、多聞との出会いによって心に光が差し込みます。

多聞の無償の愛は、人々の心の傷を癒し、彼らに希望を与えました。多聞は言葉を持たない犬でありながら、その存在自体が人々の救いとなったのです。

一時的な安らぎ

多聞がもたらす安らぎは、時に一時的なものでした。多聞は常に南を目指し、どこにも長くは留まりません。しかし、その一時的な出会いは、人々の人生に大きな影響を与えました。

和正は多聞との出会いによって家族の大切さを再認識し、中山夫婦は夫婦の絆を取り戻し、美羽は再び人を信じる勇気を得ました。弥一は孤独な最期に寄り添ってくれる存在を得、光は言葉を取り戻しました。多聞との出会いは短くとも、その影響は彼らの人生に深く刻まれることになります。

心の再生

多聞の最も大きな贈り物は、人々の心の再生でした。多聞は出会った人々の心の傷を癒し、彼らに新たな人生の可能性を示しました。

特に光との再会は、多聞の旅の集大成とも言えるものでした。言葉を失い、心を閉ざしていた光は、多聞との再会によって再び言葉を取り戻し、心を開いていきます。多聞の犠牲は、光に生きる勇気と強さを与えました。

多聞は自らの命を犠牲にしてでも、光を守ろうとしました。その無償の愛は、人間の愛の本質を問いかけるものでもあります。

映画化について

「少年と犬」は2025年3月20日に映画化が予定されています。原作の感動的な物語が、どのように映像化されるのか、多くのファンが期待を寄せています。

高橋文哉と西野七瀬のW主演

映画「少年と犬」では、高橋文哉さんと西野七瀬さんがW主演を務めます。高橋さんは和正役、西野さんは美羽役を演じます。二人の演技力と化学反応が、原作の世界観をどのように表現するのか注目されています。

高橋文哉さんは若手俳優として注目を集めており、西野七瀬さんは元乃木坂46のメンバーとして人気を博した後、女優としても活躍しています。二人の起用は、若い世代にも作品の魅力を伝える狙いがあるのかもしれません。

原作との違い

映画版「少年と犬」は、原作の複数のエピソードにオリジナル要素を加えた内容になるとされています。原作は6つの短編から構成されていますが、映画ではそのすべてを描くことは難しいでしょう。おそらく、和正と美羽のエピソードを中心に、多聞の旅の物語が再構成されると予想されます。

原作ファンとしては、多聞の魅力や物語の本質がどのように映像化されるのか、期待と不安が入り混じる思いでしょう。しかし、原作の持つ感動や犬と人間の絆というテーマは、きっと映画でも大切に描かれることでしょう。

公開情報

映画「少年と犬」は2025年3月20日に全国公開予定です。監督やその他のキャスト、詳細な内容などについては、今後徐々に明らかになっていくことでしょう。

原作の人気と直木賞受賞作という話題性から、公開前から大きな注目を集めています。犬好きの方はもちろん、感動的な物語を求める多くの観客にとって、待ち遠しい作品となっています。

感想・レビュー

「少年と犬」は、犬と人間の絆を描いた感動作ですが、単なる動物小説の枠を超えた深みと広がりを持っています。

犬と人間の絆の描写

馳星周さんの犬への深い愛情と理解が、作品全体に溢れています。多聞という一匹の犬の視点から描かれる人間との関わりは、時に人間以上に深い愛情と忠誠心に満ちています。

多聞は理想化された犬かもしれません。人間の言葉を理解し、時には人間の心の機微までも感じ取るような能力を持っています。しかし、その理想化された姿は、私たち人間が犬に求める理想の投影でもあるのでしょう。

馳さんは犬の行動や心理を細やかに描写し、犬という生き物への深い理解を示しています。多聞の聡明さと優しさ、そして使命感に満ちた姿は、読者の心を強く捉えて離しません。

震災後の日本社会の断面図

この作品は、東日本大震災という未曾有の災害によって傷ついた日本社会の断面も描き出しています。震災によって家族を失った人々、職を失った人々、心に傷を負った人々。彼らの姿は、震災後の日本社会の現実を映し出しています。

多聞の旅は、岩手県釜石から熊本までの長い道のりです。その旅の中で出会う様々な人々の姿は、日本社会の多様な側面を浮かび上がらせます。貧困、犯罪、家族の崩壊、孤独、死といった重いテーマが扱われていますが、それらは決して暗く描かれるだけではなく、多聞という一匹の犬との出会いによって、光が差し込む瞬間も丁寧に描かれています。

震災から熊本地震までの約5年間の時間の流れは、日本社会の変化と回復の過程をも象徴しているようです。

馳星周さんの犬への愛

馳星周さんは、この作品を「犬を愛する人たちに贈る」と語っています。その言葉通り、作品全体に馳さんの犬への深い愛情が溢れています。

馳さん自身、軽井沢に移り住み、バーニーズ・マウンテン・ドッグと暮らしているそうです。その実体験が、作品の細部にまで生かされているのでしょう。犬の行動や心理の描写は非常に細やかで、犬という生き物への深い理解と愛情を感じさせます。

多聞という犬のキャラクターは、馳さんの理想の犬の姿なのかもしれません。聡明で優しく、忠実で勇敢な多聞は、人間以上に人間らしい愛情と献身を示します。その姿は、私たち人間に、愛とは何か、絆とは何かを問いかけているようです。

まとめ

馳星周さんの「少年と犬」は、東日本大震災で飼い主を失った一匹の犬が、南を目指して旅を続ける物語です。その旅の中で出会う様々な人々との交流を通して、犬と人間の絆の深さと、愛の力が描かれています。

直木賞を受賞したこの作品は、単なる動物小説の枠を超えた深みと広がりを持っています。震災後の日本社会の断面図としての側面も持ちながら、人間の弱さと強さ、絆の尊さを静かに、しかし力強く描き出しています。

2025年3月には映画化も予定されており、高橋文哉さんと西野七瀬さんのW主演で、原作の感動的な物語が映像化されます。原作ファンはもちろん、犬を愛する全ての人に、そして心温まる物語を求める全ての人に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

\忙しい方には聞く読書習慣

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この記事を書いた人

元書店員の読書好きの30代男性「ダルマ」です。好きなジャンルはミステリー小説とビジネス書。
このサイトを見て1冊でも「読んでみたい」「面白そう」という本でに出会えてもらえたら幸いです。

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