「一歩踏み出せない人のための株式原論」 要約・ネタバレ・感想・レビュー(著:馬渕磨理子)

「一歩踏み出せない人のための株式原論」 要約・ネタバレ・感想・レビュー(著:馬渕磨理子)
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株式投資に興味はあるけれど、なかなか一歩を踏み出せない。そんな方に向けて、経済アナリストの馬渕磨理子さんが贈る「一歩踏み出せない人のための株式原論」。

本書は、株式投資の基本から、日本経済の現状分析、投資に役立つ指標の解説まで、幅広くカバーしています。馬渕さんの独自の視点で語られる投資の世界は、初心者にもわかりやすく、かつ深い洞察に満ちています。

目次

著者・馬渕磨理子さんの経歴

経済アナリストとしての実績

馬渕磨理子さんは、現在、一般社団法人日本金融経済研究所の代表理事を務める経済アナリストです。大阪公立大学の客員准教授としても活躍しており、その経歴は多岐にわたります。京都大学公共政策大学院修士課程を修了後、トレーダーとして法人のファンド運用を担当。その後、金融メディアのシニアアナリストを経て、現在の立場に至っています。

馬渕さんの分析力は、企業価値向上に関する大学との共同研究にも生かされており、アカデミックな視点と実務的な知見を兼ね備えた稀有な存在として評価されています。

日経平均株価予測の的中

馬渕さんの名を一躍有名にしたのが、日経平均株価の予測です。2020年、コロナ禍で株価が暴落した際、馬渕さんは「日経平均株価はいずれ3万円を超える」と予測しました。この予測に対しては、SNS上で「いい加減なことを言うな」という批判も寄せられましたが、翌2021年、日経平均は見事に3万円台を回復。実に34年ぶりの快挙でした。

さらに馬渕さんは、企業実績などを確認しながら、「日経平均は4万円を超える可能性がある」とニュース番組で発言。この予測も的中し、2024年3月に日経平均は4万円の大台を突破しました。こうした的確な予測により、馬渕さんは「日本一バズるアナリスト」として注目を集めています。

本書の概要

株式投資の基本を学ぶ

本書の特徴は、株式投資の基本を丁寧に解説している点です。株式とは何か、なぜ投資が必要なのか、といった基本的な疑問から、具体的な投資の方法まで、幅広くカバーしています。

馬渕さんは、株式を「企業の所有権を分けたもの」と定義し、株主は企業の一部を保有することになると説明します。また、投資の目的として「資産形成」と「老後の安定」を挙げ、株式投資をする意味を明確にしています。

特に注目すべきは、投資に対する心理的な障壁を取り上げている点です。多くの人が「失敗して損失を出すのではないか」という恐れから一歩を踏み出せずにいます。馬渕さんは「失敗は成功の母」とし、まず小さな投資から始めることを推奨しています。例えば、月々一定額を投資信託に積み立てるといった具合に、リスクを分散させる方法が提案されています。

経済学と株価の関係性

本書のユニークな点は、経済学と株価の関係性を丁寧に解説している点です。馬渕さんは、株価の値動きを知るカギは、その時代における経済学のトレンドと株価を結びつけて考えることだと主張します。

これまで経済学と株式投資が紐づけられて語られることはあまりありませんでしたが、馬渕さんはその時代の経済学と市場の仕組みを関連づけて考えることで、株式投資をより身近に感じられ、リズミカルに運用できるようになると説きます。さらには、目先の株価に惑わされず、冷静にその動きを見定めることができるようになるとも述べています。

日本経済の現状分析

デフレからの脱却

本書では、日本経済の現状分析にも多くのページが割かれています。特に注目されているのが、約30年続いたデフレからの脱却です。

馬渕さんは、日本がデフレに苦しむ中、アメリカや中国をはじめとする各国は経済成長を続けてきたと指摘します。日本のGDP(国内総生産)は中国、ドイツに抜かれ、2025年にはインドにも抜かれ、世界5位になる見通しだと述べています。

しかし、馬渕さんは悲観的な見方はしていません。むしろ、日本人に値上げを受け入れる覚悟ができれば、国もインフレへと舵を切れるようになると主張します。まだデフレから完全に脱却したとはいえないものの、いまこそ株式投資をはじめるチャンスだと説いています。

個人投資家の増加

日本経済の変化を象徴するのが、個人投資家の増加です。馬渕さんは、2014年にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)が、この流れを加速させたと分析しています。

2024年には新NISAが始まり、個人投資家の増加傾向はますます強まっています。馬渕さんは、約30年にわたるデフレで保守的な社会に染まってしまった日本人も、徐々に投資に対する意識を変えつつあると指摘します。

ただし、まだ多くの人々が貯蓄を流動性の高い投資に回すことに不安を覚えているのも事実です。馬渕さんは、この不安を払拭し、適切な投資を行うことが、個人の資産形成だけでなく、日本経済の活性化にもつながると主張しています。

株式投資の仕組みを理解する

経済学の観点から見る株式市場

本書の特徴的な点は、経済学の観点から株式市場を解説している点です。馬渕さんは、株式市場を単なる投機の場としてではなく、経済の縮図として捉えることの重要性を説いています。

例えば、株価の変動を理解するには、その時代の経済政策や世界情勢を踏まえる必要があると馬渕さんは主張します。金融緩和政策が株価にどのような影響を与えるのか、為替レートの変動が輸出企業の業績にどう反映されるのか、といった具体的な例を挙げながら、経済と株式市場の密接な関係を解説しています。

\忙しい方には聞く読書習慣

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この記事を書いた人

元書店員の読書好きの30代男性「ダルマ」です。好きなジャンルはミステリー小説とビジネス書。
このサイトを見て1冊でも「読んでみたい」「面白そう」という本でに出会えてもらえたら幸いです。

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