不確実性の時代に、チームが直面する様々な困難を乗り越えるための方法を提示した『チームレジリエンス 困難と不確実性に強いチームのつくり方』。
池田めぐみさんと安斎勇樹さんによる本書は、チームが困難から回復し、成長するための具体的な3ステップを紹介しています。50本以上の研究論文に基づいた信頼性の高い内容で、現代のチームリーダーに必須の知識が詰まった一冊です。
チームレジリエンスとは何か
私たちを取り巻く環境は急速に変化し、将来の予測が困難な時代となっています。そんな中、一寸先も見えない現代において、これまでのような「個人プレイ」ではなく「チームで成果を出す」ことが、あらゆる職種で求められるようになってきました。
現代組織に必要なチームの力
チームレジリエンスとは、チームが「困難」から回復したり、成長したりするための能力やプロセスのことです。個人の力だけでは課題解決が難しくなった現代社会では、チームとしての取り組みがより重要になってきています。しかし、チームが直面する困難は実に様々で、リーダーを悩ませています。
本書の著者である池田めぐみさんと安斎勇樹さんは、チームレジリエンスを「チームで困難を乗り越える方法と困難に強いチームの在り方」と簡潔に定義しています。チームレジリエンスによって、組織の適応力、イノベーション能力、そして最終的には業績の向上につながるのです。
個人のレジリエンスとチームレジリエンスの違い
レジリエンス(resilience)とは、「回復力」「復元力」「弾性」などを意味する言葉であり、危機的な「困難」に直面した際に、精神的に折れずに立ち直り、回復するための能力やプロセスを指す言葉として、近年注目されています。
しかし、個人が自分の身を守るだけの「独りよがりのレジリエンス」では、チームや組織に負のスパイラルを招いてしまいます。耐える、逃げる、責任転嫁するといった自己防衛的な行動は、一時的には個人を守るかもしれませんが、長期的にはチーム全体の機能を低下させてしまうのです。
本書では、個人のレジリエンスとチームレジリエンスの違いを明確にし、チームとして困難を乗り越えるための具体的な方法を提示しています。
不確実性の時代が生み出す悪循環
不確実性と困難がストレスを生み、逃避行動を起こす。そうした悪循環がチームの力を削いでいきます。「本当はチームで乗り越えたかった…」という思いを持ちながらも、実際には個人の自己防衛に走ってしまう。そんな状況が現代の組織では頻繁に見られます。
安斎さんは、「経営の不確実性が高まる中、経営層は孤独で疲弊し、現場のメンバーも疲弊しています。その間に挟まれ、多くの矛盾にさらされているのが中間管理職です。対処すべき課題が増大して、個々人がバラバラにモグラ叩き(課題に対応したそばから別の課題が発生する)に明け暮れてしまっています」と指摘しています。
この悪循環を断ち切り、チームとして困難に立ち向かうための方法が、本書で紹介されているチームレジリエンスなのです。
チームが直面する「困難」の正体
チームが直面する「困難」とは具体的にどのようなものでしょうか。本書では、様々な種類の困難について詳しく解説されています。
予期せぬ危機と慢性的な問題
チームが直面する困難には、新型コロナウイルスの感染拡大のような突如として起こる予期せぬ危機や、日々の業務負荷が徐々に蓄積していく慢性的な問題まで、その範囲は広範です。これらの困難な課題、いわゆる「ハードシングス」に対して、チームには柔軟な対応力と乗り越えていく強さが求められています。
予期せぬ危機は、その性質上、事前に完全に準備することは難しいものです。しかし、チームレジリエンスを高めることで、そうした危機が訪れた際にも冷静に対処し、被害を最小限に抑えることができます。
一方、慢性的な問題は、日々の小さなストレスが積み重なることで、チームの機能を徐々に低下させていきます。こうした問題は、一見すると緊急性が低いように見えるため、対処が後回しにされがちですが、放置すればするほど解決が難しくなっていくのです。
人手不足や業績不安などの現実的課題
本書の「はじめに」に例示されている「困難」の一部には、人手不足に業績不安、取引先の無茶な要求、理不尽なクレーム、SNSの炎上などが挙げられています。これらにまったく無関係でいられるチームはほとんどないでしょう。たいていのチームは、次々に「困難」に襲われて常にストレスフルな状態にあり、通常業務をこなすだけで精一杯、「チームのあるべき姿とはどのようなものか」「どうすればより大きな成果が出せるか」などに思いを馳せる余裕はまったくないのが現状です。
特に、人手不足や業績不安といった課題は、チームのモチベーションを直接的に低下させる要因となります。こうした課題に対しても、チームレジリエンスの考え方を適用することで、より効果的に対処することができるのです。
エースの離脱や人間関係のトラブル
チーム内の人間関係に関わる困難も、チームの機能を大きく低下させる要因となります。エースの離脱やギスギスした人間関係といった問題は、チームの雰囲気を悪化させるだけでなく、業務の効率や成果にも直接的な影響を与えます。
こうした人間関係のトラブルに対しては、オープンなコミュニケーションと相互理解が重要です。チームレジリエンスの考え方を取り入れることで、トラブルが発生した際にも冷静に対処し、チームとしての一体感を取り戻すことができるでしょう。
レジリエンスを高める3つのステップ
本書では、チームレジリエンスを高めるための3つのステップが紹介されています。これらのステップを実践することで、チームは困難に対してより効果的に対処できるようになります。
ステップ1:課題を定めて対処する
レジリエンスの高いチームは、困難に直面した時、まず「課題を定めて対処する」ことから始めます。困難をそのままにせず、具体的な課題として定義し、解決に向けたアクションを起こすのです。
困難を解決可能な課題に具体化することで、チームメンバーは何に取り組めばよいのかが明確になります。また、課題をプロジェクト化して取り組むことで、チーム全体で協力して解決に当たることができます。
安斎さんは、「大事なのは、『ゲームのルールを見直すほうがいいんじゃないか?』などと、チームで立ち止まって考えられるかどうか。すると、チームの役割分担や情報共有の仕組みを見直さないといけない、などとチームの学習が進んでいく」と指摘しています。
ステップ2:困難から学ぶ
レジリエンスの高いチームは、困難に対処するだけでなく、「困難から学ぶ」ことも重視します。困難を単なる障害として捉えるのではなく、チームの成長のための機会として活用するのです。
安斎さんによれば、「レジリエンスの高いチームは、振り返りをして再現可能な教訓を言語化するので、必然的に成長を経験していく」とのことです。困難を乗り越えた経験を振り返り、そこから得られた教訓を次に活かすことで、チームはより強くなっていくのです。
「チームレジリエンス型」の振り返りでは、「犯人探し」に陥らないよう注意が必要です。失敗の原因を特定の個人に求めるのではなく、チーム全体のシステムや仕組みに目を向け、改善点を見つけることが重要です。
ステップ3:被害を最小化する
レジリエンスの高いチームは、「被害を最小化する」ための取り組みも行います。困難が発生した際の被害を最小限に抑えるための予防策を講じるのです。
池田さんは、2024年1月2日に起きた日本航空516便衝突炎上事故での乗員乗客の救出劇を例に挙げ、「この脱出を支えた一因が『90秒ルール』です。旅客機の乗員は年に一度、90秒以内の避難誘導を訓練します。つまり、『被害を最小化する』ステップとして事故が起きたときの動き方をしっかりトレーニングしていた。このことが、CAたちの迅速かつ冷静な判断を支え、乗客の安全確保につながったのではないでしょうか」と説明しています。
困難を完全に避けることはできなくても、充分な備えによって困難に対処しやすくなるのです。困難を早期に発見するための仕組みを整え、事前に対策を立てておくことで、被害を最小限に抑えることができます。
課題を定めて対処するための実践法
困難に直面した際、それを具体的な課題として定義し、解決に向けて取り組むための実践法について見ていきましょう。
チームで困難を乗り越える難しさ
チームで困難を乗り越えることは、個人で対処するよりも複雑で難しい面があります。メンバー間の認識の違いや、コミュニケーションの齟齬、役割分担の不明確さなど、様々な要因がチームの対応を難しくします。
しかし、チームで取り組むからこそ得られるメリットも大きいのです。多様な視点や知識、スキルを活かすことで、個人では思いつかなかった解決策を見つけ出すことができます。また、チームで困難を乗り越えた経験は、メンバー間の信頼関係を強化し、チームの一体感を高めることにもつながります。
困難を解決可能な課題に具体化する方法
困難を解決可能な課題に具体化するためには、まず困難の本質を理解することが重要です。何が問題なのか、なぜそれが問題なのか、どのような影響があるのかを明確にすることで、取り組むべき課題が見えてきます。
また、大きな困難を小さな課題に分解することも効果的です。「エースが離脱した」という困難を、「エースが担当していた業務の引き継ぎ」「新たな人材の育成」「チーム全体の業務分担の見直し」といった具体的な課題に分解することで、取り組みやすくなります。
プロジェクト化による課題解決アプローチ
課題を解決するためには、プロジェクト化して取り組むことが効果的です。具体的には、以下のようなステップを踏むとよいでしょう。
まず、課題の目標と期限を明確にします。何をいつまでに達成するのかを明確にすることで、チームの方向性が定まります。
次に、必要なリソースと役割分担を決めます。誰が何を担当するのか、どのようなリソース(時間、予算、人材など)が必要なのかを明確にします。
そして、進捗を定期的に確認し、必要に応じて計画を修正します。予定通りに進んでいるか、問題が発生していないかを確認し、状況に応じて柔軟に対応することが重要です。
ストレスに負けないチーム構築のポイント
困難に直面すると、チームメンバーはストレスを感じます。このストレスがチームの機能を低下させないよう、ストレスに負けないチームを構築することが重要です。
まず、オープンなコミュニケーションを促進することが大切です。メンバーが自由に意見を言える環境を作り、困難やストレスについても率直に話し合えるようにしましょう。
また、適度な自信もチームレジリエンスの重要な要素です。過去の成功体験を振り返り、「このチームなら困難を乗り越えられる」という自信を持つことで、ストレスに負けずに困難に立ち向かうことができます。
さらに、チーム内の信頼関係を構築することも重要です。メンバー同士が信頼し合い、助け合える関係があれば、困難な状況でも協力して乗り越えることができます。
困難から学ぶ振り返りの技術
困難を乗り越えた後、その経験から学び、次に活かすための振り返りの技術について見ていきましょう。
「犯人探し」に陥らない振り返りの方法
困難が発生した際、「誰のせいで問題が起きたのか」という「犯人探し」に陥りがちです。しかし、これは建設的な解決にはつながりません。むしろ、チーム内の信頼関係を損ない、次の困難に対する対応力を低下させてしまいます。
「犯人探し」に陥らないためには、問題の原因を個人ではなく、システムや仕組みに求めることが重要です。「なぜこの問題が発生したのか」「どのような仕組みがあれば防げたのか」といった視点で振り返ることで、建設的な学びを得ることができます。
チームレジリエンス型の振り返り手法
チームレジリエンス型の振り返りでは、以下のようなポイントを意識するとよいでしょう。
まず、事実と感情を分けて考えることが重要です。何が起きたのかという事実と、それに対してどう感じたのかという感情を区別して考えることで、より客観的な振り返りが可能になります。
次に、成功した点と改善点の両方に目を向けることも大切です。困難を乗り越える過程で何がうまくいったのか、何が課題だったのかを両面から考えることで、より深い学びを得ることができます。
また、チーム全体で振り返りを行うことも重要です。様々な視点から意見を出し合うことで、一人では気づかなかった学びを得ることができます。
今後に活きる教訓の作り方
振り返りから得た学びを今後に活かすためには、具体的な教訓として言語化することが重要です。「次回同じような状況になったら、こうすべきだ」という形で教訓を明確にすることで、実際に活用しやすくなります。
また、教訓を共有し、チーム全体の知恵として蓄積することも大切です。振り返りで得た学びを文書化したり、定期的に振り返ったりすることで、チーム全体の知識として定着させることができます。
安斎さんが指摘するように、「レジリエンスの高いチームは、振り返りをして再現可能な教訓を言語化するので、必然的に成長を経験していく」のです。困難を乗り越えた経験から得た教訓を言語化し、チーム全体で共有することで、次に同様の困難に直面した際にも効果的に対処できるようになります。
被害を最小化するための予防策
困難が発生した際の被害を最小限に抑えるための予防策について見ていきましょう。
取り返しのつかない事態を事前に防ぐ
チームレジリエンスの高いチームは、困難が発生した際の被害を最小限に抑えるための予防策を講じています。取り返しのつかない事態を事前に防ぐことで、チームの機能を維持し、困難からの回復をスムーズにするのです。
池田さんは、2024年1月2日に起きた日本航空516便衝突炎上事故での乗員乗客の救出劇を例に挙げています。「この脱出を支えた一因が『90秒ルール』です。旅客機の乗員は年に一度、90秒以内の避難誘導を訓練します。つまり、『被害を最小化する』ステップとして事故が起きたときの動き方をしっかりトレーニングしていた。このことが、CAたちの迅速かつ冷静な判断を支え、乗客の安全確保につながったのではないでしょうか」と説明しています。
このように、困難が発生した際の対応をあらかじめ訓練しておくことで、実際の緊急時にも冷静に対処することができるのです。
困難の早期発見テクニック
困難の被害を最小限に抑えるためには、困難を早期に発見することも重要です。小さな問題の兆候を見逃さず、大きな困難に発展する前に対処することで、被害を最小限に抑えることができます。
困難の早期発見のためには、チーム内のオープンなコミュニケーションが欠かせません。メンバーが気づいた問題や懸念を自由に共有できる環境を作ることで、小さな問題の兆候も見逃さずに済みます。
また、定期的なチェックポイントを設けることも効果的です。プロジェクトの進捗状況や、チームの状態を定期的に確認することで、問題の兆候を早期に発見することができます。
スケジュールの遅れに注目する重要性
困難の早期発見において、特に注目すべきなのがスケジュールの遅れです。スケジュールの遅れは、単なる時間的な問題だけでなく、チーム内の問題や外部環境の変化など、様々な困難の兆候を示していることがあります。
スケジュールの遅れに気づいたら、その原因を深掘りすることが重要です。単に「時間が足りなかった」で終わらせるのではなく、なぜ時間が足りなかったのか、どのような要因が影響したのかを分析することで、潜在的な問題を発見することができます。
また、スケジュールの遅れを防ぐためには、現実的な計画を立てることも大切です。過度に楽観的な計画は、必然的に遅れを生じさせ、チームのストレスを高める要因となります。余裕を持ったスケジュールを立て、予期せぬ事態にも対応できるようにしておくことが重要です。
事前対策の立て方
困難の被害を最小限に抑えるためには、事前に対策を立てておくことが重要です。具体的には、以下のような方法が効果的です。
まず、過去の困難から学んだ教訓を活かすことが大切です。過去に直面した困難とその対処法を振り返り、同様の困難が発生した際の対策を立てておくことで、被害を最小限に抑えることができます。
次に、リスクマネジメントの考え方を取り入れることも効果的です。起こり得るリスクを洗い出し、その影響度と発生確率を評価した上で、優先順位を付けて対策を立てることで、効率的にリスクに対処することができます。
さらに、バックアッププランを用意しておくことも重要です。最善の計画が失敗した場合に備えて、代替案を用意しておくことで、困難が発生した際にも柔軟に対応することができます。
失敗パターンとその回避法
チームレジリエンスを高める上で、陥りがちな失敗パターンとその回避法について見ていきましょう。
陥りやすい罠とその特徴
チームが困難に直面した際、陥りがちな罠がいくつかあります。これらの罠を理解し、意識的に回避することが、チームレジリエンスを高める上で重要です。
一つ目の罠は、「犯人探しパターン」です。困難が発生した際、「誰のせいで問題が起きたのか」という犯人探しに陥りがちです。しかし、これは建設的な解決にはつながりません。むしろ、チーム内の信頼関係を損ない、次の困難に対する対応力を低下させてしまいます。
二つ目の罠は、「反省会パターン」です。困難を乗り越えた後、単に反省点を挙げるだけで終わってしまうパターンです。反省点を挙げるだけでは、具体的な改善につながりません。反省点から具体的な教訓を導き出し、次の行動に活かすことが重要です。
三つ目の罠は、「その場しのぎパターン」です。困難に直面した際、その場をしのぐための対応に終始し、根本的な解決に取り組まないパターンです。これでは同様の困難が繰り返し発生してしまいます。根本的な原因を特定し、解決に取り組むことが重要です。
罠を回避するための具体的アプローチ
これらの罠を回避するためには、具体的なアプローチが必要です。
「犯人探しパターン」を回避するためには、問題の原因を個人ではなく、システムや仕組みに求めることが重要です。「なぜこの問題が発生したのか」「どのような仕組みがあれば防げたのか」といった視点で振り返ることで、建設的な学びを得ることができます。
「反省会パターン」を回避するためには、反省点から具体的な教訓を導き出し、次の行動に活かすことが重要です。「次回同じような状況になったら、こうすべきだ」という形で教訓を明確にし、実際の行動に落とし込むことで、真の学びにつながります。
「その場しのぎパターン」を回避するためには、根本的な原因を特定し、解決に取り組むことが重要です。表面的な対応だけでなく、なぜその問題が発生したのか、どうすれば再発を防げるのかを深く考え、根本的な解決策を見つけることが大切です。
チーム内の信頼関係構築の重要性
これらの罠を回避し、チームレジリエンスを高めるためには、チーム内の信頼関係が欠かせません。メンバー同士が信頼し合い、オープンにコミュニケーションできる環境があってこそ、困難に対して効果的に対処することができます。
信頼関係を構築するためには、まず相互理解を深めることが重要です。メンバー一人ひとりの強みや弱み、価値観や考え方を理解し、尊重することで、信頼関係が生まれます。
また、成功体験を共有することも信頼関係構築に効果的です。困難を乗り越えた経験を共有し、共に喜び合うことで、チームの一体感が高まります。
さらに、失敗を許容する文化を作ることも大切です。失敗を恐れずに挑戦できる環境があってこそ、メンバーは自分の能力を最大限に発揮することができます。
感想・レビュー
『チームレジリエンス 困難と不確実性に強いチームのつくり方』は、現代のチームリーダーにとって必読の一冊です。理論と実践のバランスが取れた内容で、読者は具体的な行動に落とし込みやすい知識を得ることができます。
理論と実践のバランスが取れた一冊
本書の最大の魅力は、理論と実践のバランスが取れている点です。50本以上の研究論文に基づいた信頼性の高い理論と、実際のビジネスシーンに即した具体的な実践法が、バランスよく紹介されています。
理論だけでは実際の行動に落とし込みにくく、実践だけでは応用が効きにくいものですが、本書はその両方をカバーしているため、読者は自分のチームの状況に合わせて柔軟に応用することができます。
また、各章の終わりには「実践のためのチェックリスト」が用意されており、読者が自分のチームの状態を確認し、具体的な行動に移しやすい工夫がされています。
50本以上の研究論文に基づく信頼性
本書の内容は、50本以上の研究論文に基づいており、その信頼性の高さも特筆すべき点です。著者の池田めぐみさんと安斎勇樹さんは、それぞれの専門分野での研究成果を活かしつつ、最新の研究知見を分かりやすく解説しています。
特に、チームレジリエンスという比較的新しい概念について、その理論的背景から実践的な応用まで、幅広く網羅している点は高く評価できます。学術的な裏付けがあることで、読者は安心して本書の内容を実践に移すことができるでしょう。
現代のチームリーダーに必須の知識
不確実性の高い現代社会において、チームが直面する困難は複雑かつ多様です。そんな中、チームリーダーには、困難に対して効果的に対処し、チームを導く力が求められています。
本書は、そんな現代のチームリーダーに必須の知識を提供しています。困難を解決可能な課題に具体化する方法、困難から学ぶ振り返りの技術、被害を最小化するための予防策など、チームリーダーが直面する様々な課題に対する具体的な解決策が示されています。
また、チームレジリエンスを高めるための3つのステップは、どのようなチームにも適用可能な普遍的な方法論であり、読者は自分のチームの状況に合わせて柔軟に応用することができます。
まとめ
『チームレジリエンス 困難と不確実性に強いチームのつくり方』は、チームが困難から回復し、成長するための具体的な方法を提示した一冊です。チームレジリエンスを高めるための3つのステップ「課題を定めて対処する」「困難から学ぶ」「被害を最小化する」を実践することで、チームは困難に強くなり、不確実性の高い環境でも高いパフォーマンスを発揮することができます。
本書の内容は、50本以上の研究論文に基づいた信頼性の高いものであり、理論と実践のバランスが取れているため、読者は自分のチームの状況に合わせて柔軟に応用することができます。現代のチームリーダーにとって必須の知識が詰まった一冊と言えるでしょう。
困難を成長の機会に変え、変化に強いしなやかなチームを作るためのエッセンスが詰まった本書を、ぜひ多くのチームリーダーに手に取っていただきたいと思います。